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名作名優・興行収入
今では映画も、ビデオやDVDなどのおかげで、密室で一人だのしむことができる。しかしかつてはすべて、映画館の大型画面で多くの観客とともに鑑賞され、笑い、怒り、悲しみ、感動の質は様々ながらそれを大衆的に共有したものだった。どんな映画も、お客に映画館へ足を運んでもらわないことには作品として成立しなかった。このため興行的に当った映画には、その時代の大衆の心情や思想といったものが色濃く反映していたといえるだろう。
世に名作といわれる映画は数多くある。それらはいずれも単なる商品であることを超え、芸術作品として自立し、時代を超えて人々の心をとらえ続け、鑑賞に堪え得る作品といえる。その点では封切り時に、どれほど商品として興行収入をあげたかが名作の条件だ、とはいえない。映画館ではあくまで映画を商品としてお客さんに売り込むのが目的だから、「巨匠の超大作」だSF史上空前のスペクタクル」だ「芸術の香り商い名作」だ、また時には「三倍泣けます」などとやるわけだが、前宣伝が効いてお客さんが押しかけることもあれば、「笛吹けど踊らず」の時もある。お客に入ってもらいたい名作に中々お客が来てくれず、お客が来るから売り易い映画ではあるが、お世辞にも名作とはいえない、ということもある。その点で思い出すが黒澤作品は、田舎町の映画館で必ずしもお客を引き易い映画、とはいえなかった。しかし見た人には必ず深い感動を与えた映画であり、今も与え続けている映画といえるのではないか。もちろん黒澤映画のすべてではないが・・・
人は好き好きで、他人がどんなにすばらしいといっても自分には良さが分からず自分がこれほどほれこんでいるのに他人はまったく認めてくれない。映画とはそれでいいのだと思う。

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